第1回:手術用顕微鏡
- 2007.05.30
- 院長のブログ
「こだわり」という言葉を良く耳にしますが、元々は否定的な使い方をする言葉でしたが、近頃は「特別の思い入れがある」という使われ方が多くなりました。もっと言えば、かなり主観的な個人の趣意を押し出す場合に使いやすい言葉のようです。
ご意見や反論はお受けいたしますが、採用はあくまで私の判断でさせていただきますのであしからず。
【手術用顕微鏡】
手術用顕微鏡というのは、学校で生物の時間に見たような形ではなく、手術する部分を拡大して細かな手術を可能にする道具です。そのため、針や糸は勿論それを扱う道具も専用のものになります。
私は今年54歳になりましたが、私と同年代かそれより若い形成外科専門医は誰でも手術用顕微鏡を使って、切断された指をつなぐ手術や遠い場所から組織移植をする場合に血管吻合や神経縫合をしました。直径1ミリくらいの血管を吻合する技術を習得するために、ネズミの血管を使って随分練習したものです。
二重まぶたの切開法や目頭切開では、手術用顕微鏡を使って手術した方が傷跡は勿論、二重や目頭のできあがりが明らかに綺麗です。
手術用顕微鏡を使って手術するには、かなりのトレーニングを必要としますので、医学部を卒業したての医師や内科とか麻酔科出身の美容外科医には真似のできない技術です。
「私は形成外科専門医でございます」、あるいは「形成外科専門医の方が上手です」と声を大きくするより、身につけた技術で優れた手術結果を出すことの方が遙かに有意義だと思います。
でも逆に、多額の広告費を使って患者さんを集め、短時間に効率よく売り上げを目指すことを至上目的にする美容外科医やその経営者にとっては、時間のかかる顕微鏡手術なんか無意味でしょうし、そんな非効率なものと笑われるでしょうね。
手術の結果を喜んでくれる患者さんの笑顔を見たいと思う私のこだわりでしょうね。