Q. 二重全切開手術の早期修正について

出口先生こんにちは。先日は親身にカウンセリングしていただき、私の資料にも目を通してくださり、本当にありがとうございました。今の状態が2、3ヶ月経っても改善しなければ先生に修正していただこうと考えております。
質問ですが、よく他院の先生方は「術後半年~1年経ってからの修正がいい。傷跡が赤いときには修正しない。」とおっしゃることが多いですよね。術後2、3ヶ月の早期修正にはやはりリスクがあるのでしょうか?それとも、半年経ってから修正しても、早期修正とあまり変わらない結果になるのでしょうか?何度も質問して申し訳ございませんが、ご回答いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
○士○さんへのお返事です
修正手術の時期について説明します。
まず手術後にまぶたにどんなことが起こっているのかですが、切開や剥離して縫合した部分では組織間の再接合のために、生化学的な変化に引き続き細胞レベルあるいは組織間の変化が起こります。2~3週間を過ぎると新生血管が組織へ発生し、その後接合力を強くする線維化が起こり、3ヶ月くらいから接合部の瘢痕の成熟に伴う硬さの軟化が起こります。ですから2~3週間までは早期修正が大きなリスクを抱えずにできることがあります。そしてそれから3ヶ月くらいはいたずらに手術操作を加えないほうが良い時期になります。
また別の視点からは、手術後の腫れが引くまでの術後3ヶ月は改善の方向で変化があるのであわてて完成前に修正手術をするのは良くないという考えです。そして傷跡の成熟過程では半年くらいは待って完成状態を見た上で修正の要否あるいは方針を考えるべきというものです。
以上は手術後修正の大原則です。
しかし患者さんにしてみれば少しでも早く改善したいわけで、1年待てというのには無理もあります。診察の上修正手術の内容を考えるうえで、重大な機能障害がある場合や直近の手術の影響を切除なりで排除できる場合は、前記の原則よりも早期に手術ができる可能性があります。また経験的に直近の手術内容から3ヵ月後あるいは6ヵ月後の状態が予測でき、待っても修正が不可避ならば少しでも早く患者様の苦痛を和らげて差し上げるのも私たちの仕事だろうと思います。
修正手術を多く手がけて経験することで、診察時の状態とご希望から治療内容と時期を判断する訓練をして、その修正手術の結果をその後の患者さんの治療にフィードバックするわけです。
院長 出口 正巳
